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介護記録の効率化は、どこから手をつけるべきか
AIを入れても定着しない施設には共通点があります。いきなり記録全体を変えず、「毎日書いていて、書き方が決まっているもの」から始めるのが現実的です。順番と、つまずきどころを整理しました。
「AIを入れたほうがいいのは分かっているが、何から手をつければいいか分からない」。施設をお訪ねすると、ほぼ必ずこのお話になります。
順番を間違えると、高い買い物をしたのに現場で使われないという結果になります。当社が自社の業務を組み替えたときの経験も含めて、順番を整理しました。
定着しない施設に共通すること
うまくいかなかった導入には、だいたい次のどれかが当てはまります。
- 一度に全部変えようとした。 記録も請求もシフトもまとめて変え、現場が混乱して元に戻った
- 一番難しいところから始めた。 ケアプランの本文など、判断が要るものから手をつけた
- 誰がいつ使うかを決めなかった。 「使えるようになったら使ってください」で終わり、忙しい現場では後回しになった
- 入れて終わりだった。 導入時の説明会だけで、その後の相談先がなかった
手をつける順番
1. 毎日書いていて、書き方が決まっているもの
日々の介護記録、申し送り、日報。量が多く、しかも書き方の型があるものです。ここは効果が出るのが早く、失敗してもすぐ元に戻せます。
型が決まっているということは、テンプレートにできるということです。当社が施設にお渡しする際は、その施設で実際に使われている文面から20本ほどのテンプレートを作るところから始めます。汎用のサンプルではなく、その施設の言葉づかいで作ります。
2. 会議・委員会の議事録
事故対策委員会、感染対策委員会、業務改善の会議。議事録は必要だが、書くのに時間がかかり、後回しになりやすい典型です。
音声から文字起こしをして、決定事項と共有事項だけに絞った形にまとめる。ここは判断が要らないので自動化と相性がよく、しかも加算の要件として実施記録が必要になる場面でも効いてきます。
3. 家族への報告・案内文
ご家族向けのお便り、行事の案内、状況の報告。書ける職員が限られていて、その人に集中している業務です。ここを型にすると、特定の職員の負担が減ります。
4. ケアプランの下書き
ここは4番目です。最初にやりたくなる場所ですが、判断が入るぶん、間違ったまま通ってしまうリスクがあります。1〜3で職員がAIの癖に慣れてからにしたほうが、結果的に早く定着します。
下書きを作るところまでをAIに任せ、確認と修正は必ず人が行う。この線引きを最初に決めておくことが大事です。
つまずきどころ
「入力する時間」が増えることがある
音声入力や写真からの読み取りは便利ですが、慣れるまでは手で書いたほうが早く感じます。最初の2週間は遅くなることを、あらかじめ全員に伝えておいてください。ここで「やっぱり手書きのほうが早い」となって止まる施設が多いです。
個人情報の扱いを最初に決める
利用者様のお名前や病歴を、外部のサービスにそのまま入力してよいのか。ここを決めずに始めると、あとで大きな問題になります。何を入れてよくて、何を入れてはいけないかを紙1枚にまとめて、研修の最初に配ってください。
当社の研修では、この回を必ず最初に置いています。
「使える人」を1人だけにしない
最初に覚えた職員1人に集中すると、その方が異動や退職をした瞬間に止まります。最低でも2〜3名、できれば各フロアに1名は分かる人を作ってください。
効果はどこに出るか
記録の時間が減った分は、そのまま利益になるわけではありません。残業が減るか、ケアの時間が増えるか、どちらかに使われて初めて意味があります。
導入前に「減った時間を何に使うか」を決めておいてください。決めていないと、時間が空いた分だけ別の業務が入ってきて、何も変わらなかったという評価になります。
当社では、この順番に沿ったテンプレートの作成と、職員向けの研修、そして毎月の伴走支援をまとめてご提供しています。ご相談は無料です。